よくある相談内容
- マツの消毒を教えてください。
- マツの剪定法を教えてください。
- カイガラムシ駆除薬剤を教えてください。
- ケムシ駆除薬剤を教えてください。
- 庭木の枝葉が黒くなってしまうのは何故ですか。
- 庭の植木に白い苔みたいなものが付き、樹勢が悪くなっているのは何故ですか。
- マツの代表的な害虫を教えてください。
- 根本近くの幹から木屑が出ていますが、どうすればいいですか。
- ハナミズキの害虫アメリカシロヒトリの防除について教えてください。
- アジサイの花の色が悪い、購入した時と色が違うのは何故ですか。
- サクラの幹にヤニが出ています。病気ですか。
- 紅葉の色の違いについて教えてください。
- マツの緑摘みの時期を教えてください。
- マツに肥料を与えてもいいですか。
- カナメモチの葉に赤い点々がつくのは何故ですか。
- マツの葉の色が緑から、色が抜けて白っぽくなり茶色になってしまいます。
- アブラムシがしつこくて困っています。
- 農薬は濃度が濃ければ良いのか?
- いろいろな農薬を混ぜて良いのか?
一般の相談者様より、当相談所に寄せられた相談に対して、樹木医が回答したQ&AをPDFにて掲載します。
緑化Q&A 黒字が相談内容で赤字が樹木医の回答です。
Q1. マツの消毒を教えてください。
A. 薬剤散布等については、松クイ虫防除を採りいれ計画して薬剤散布等行ってください。健全木への松枯れ対策としましては、5月から9月頃まで月一度程度マツグリーン散布(薬効がある間はアブラムシ・ケムシ等にも効果があり、他の庭木へも希釈調整して使用できます)休眠期マツノマダラカミキリ発生3ヶ月前までに樹幹注入・土壌灌注などを行ってください。カイガラムシについては、4月と9月にカルホス乳剤を散布してください。ハダニには、バロックフロアブル散布。葉枯れ性病害には、キノンドウ水和剤40など銅製剤を散布してください。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q2. マツの剪定方法を教えてください。
A. 春から伸びた緑(新芽)の親芽を元から摘み取り脇芽を枝足に合わせて摘み取る緑摘みを概ね6月頃までに行い、秋には、古葉もみを主に本手入れを行ってください。作業には専門的技術を要しますので緑の教室等への参加をお勧めします。
Q3. カイガラムシ駆除薬剤を教えてください。
A. 幼虫発生期にカルホス乳剤、スプラサイド乳剤40・アップロードフロアブルなどを散布してください。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q4. ケムシ駆除薬剤を教えてください。
A. 発生初期に園芸用ディプテレックス乳剤、トレボン乳剤、スミチオン乳剤などを散布してください。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q5. 庭木の枝葉が黒くなってしまうのは何故ですか。
A. カイガラムシ・アブラムシ等吸汁性害虫の排泄物により併発するすす病だと思われます。吸汁性害虫の防除を徹底してください。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q6. 庭の植木に白い苔みたいなものが付き、樹勢が悪くなっているのは何故ですか。
A. 樹皮に定着しているのは、ウメノキゴケです。見た目はコケですが、中身は菌類で内部は藻で、藻の光合成を行い菌類が生きているという、非常に変わった植物です。この「ウメノキゴケ」は環境変化に弱く、排気ガスなどの大気汚染が進行すると、発生しないため、大気汚染の指標とされています。コケや地被類が付くのは、古い皮が付いたままでいる証拠です。対処方法として、酸性に弱いので木酢をハケで塗るか、数回散布すると枯死しますが、跡は残ったままです。しかし、これらの方法は根本的な対処方法ではないので、毎年同じことの繰り返しとなります。樹種にあった土壌環境、透水性、施肥材の選択など、他項目にあった調査が不可欠です。土壌改良の目的は、5~10年の時間をかけて、少しずつ改良を進め、樹勢を高めてゆく方法で、樹皮の新陳代謝を促進し、元気ある樹木を創り、ウメノキゴケの除去を「樹木自身で、解決する。」という考え方です。
Q7. マツの代表的な害虫を教えてください。
A. 代表的なマツカレハを取り上げて説明。年1回発生、幼虫越冬;雌成虫は卵を針葉上、ときに枝や樹皮上に不規則な塊状で産みます。産卵数は1雌あたり200~700個で卵期間は5~7日、孵化直後の幼虫は集団で針葉を食べるが、暫時、糸を吐いて懸垂して分散します。成長した幼虫は針葉を先端から食べ始め、基部まで食べます。多くは、10月下旬までに4回脱皮し、体長20mm程度になり、10月下旬から11月上旬頃に幹を降りて、根際の隙間の落葉・苔等の下にもぐって越冬します。翌年4月頃から樹上に上り針葉を食べて8齢となり、6月下旬から繭を作り蛹になります。繭は針葉を数本集めた中に作るのが普通ですが、枝や樹幹上に作ることもあります。蛹は17日程度で羽化し、幼虫は主に夜間に摂取します。物に驚くと頭胸部を持ち上げる習性があり、成虫は光に集まります。駆除については、ディプテレックス乳剤を1000倍で散布。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q8. 根本近くの幹から木屑が出ていますが、どうすればいいですか。
A. ゴマダラカミキリ幼虫の通称テッポウ虫だと思われます。幼虫発生初期にスミチオン乳剤等で防除散布してください。木屑が出ている孔へは、専用のエアーゾルを木屑が出なくなるまで数回注入し、落葉果樹等では、落葉期以降トラサイド乳剤等を被害部などへ散布してください。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q9. ハナミズキの害虫アメリカシロヒトリの防除について教えてください。
A. 気象条件等によっても変わりますが、通常6月上旬から7月中旬(一化期)と、8月上旬から9月中旬(二化期)の年2回発生します。また、空き地や空家などでは気づかない間に発生して、隣接する土地まで被害が出るケースもありますので、発生時期には所有している土地の確認をお願いします。駆除方法については、スミチオン乳剤1000倍散布。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。クルミ・カキ・サクラ・ウメ・ハナミズキ・アンズ・ヤナギ・プラタナスなどの落葉樹に好んで産卵し、幼虫は吐いた糸で作った巣に1週間ほど留まっています。巣の中の幼虫は、葉の葉脈だけ残して食害するため、葉が透けて見えます。幼虫は、体長1.5cm位になると、巣から離れてしまうので、分散する前に枝葉を切り取り、焼くか踏みつぶして処分してください。
Q10. アジサイの花の色が悪い、購入した時と色が違うのは何故ですか。
A. 花(萼)の色はアントシアニンという色素によるもので、アジサイにはその一種のデルフィニジンが含まれています。これに補助色素とアルミニウムのイオンが加わると、青色の花になります。アジサイは土壌のPH(酸性度)によって花の色が変わり、一般に「酸性なら青、アルカリ性なら赤」になると言われています。これは、アルミニウムが根から吸収されやすいイオンの形になるかどうかに、PHが影響するためです。すなわち、土壌が酸性だとアルミニウムがイオンとなって土中に溶け出し、アジサイに吸収されて花のアントシアニンと結合し青色を呈します。逆に土壌が中性やアルカリ性であればアルミニウムは溶け出さずアジサイに吸収されないため、花は赤となります。したがって、花を青色にしたい場合は、酸性の肥料や、アルミニウムを含むミョウバンを与えます。同じ株でも部分で花の色が違うのは、根から送られるアルミニウムの量に差があるためです。ただし品種によっては遺伝的要素で花が青にならないものもあります。これは補助色素が原因であり、もともと量が少ない品種や、効果を阻害する成分を持つ品種は、アルミニウムを吸収しても青色になりません。
Q11. サクラの幹にヤニが出ています。病気ですか。
A. コスカシバ幼虫の穿孔影響だと思われます。幼虫発生初期にスミチオン乳剤等を散布し、落葉果樹等の場合落葉期以降トラサイドA乳剤等を散布してください。 薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q12. 紅葉の色の違いについて教えてください。
A. 赤色や黄色に色づく仕組み。夏に青々とした葉を付けていた樹木が秋にあると赤色や黄色に色づくのは、葉に含まれる色素が関係しています。赤色か黄色、どちらの色素が含まれているかによって色づきが異なります。赤色になる葉は、アントシアニンという色素が関係しています。春から夏にかけては葉に存在せず、寒くなってくると新たに作られます。木は冬の寒さを乗り越えるために、葉を落として冬支度します。葉に養分が送られないように、葉と枝の間がふさがれているため、葉の中に糖分がたまってしまいます。ここに太陽の光があたることで、葉の中の糖分が分解され、アントシアンが作られるようになります。アントシアンが作られることによって、葉っぱが赤く見えるようになります。黄色になる葉は、カロテノイドという色素関係しています。若葉の頃から葉に含まれていますが、春から夏にかけてはクロロフィル(葉緑素)という光を吸収する色素の影響により、目で見て確認することはできません。クロロフィルは分解と生産を繰り返しますが、秋になると生産が止まり分解だけが行われるようになります。クロロフィルが分解されて少なくなった結果、カロテノイドの色素が見えてきて、葉っぱの色が黄色く見えるようになります。褐色(黒ずんだ茶色)になる葉は、赤色に変わる途中の状態です。緑色が赤色に変わっていく途中で、緑色と赤色が混ざって褐色になります。次第に赤色の方が強くなっていきますが、褐色のまま変わらないこともあります。
Q13. マツの緑摘みの時期を教えてください。
A. 枝数が多く既にほぼ仕上がったマツであれば、地域差はありますが概ね6月頃(緑が伸びきり展葉始めを目安) 枝数を増やしたいのであれば、2番芽の展葉を促すよう若干早めにすると良いでしょう。
Q14. マツに肥料を与えてもいいですか。
A. マツに肥料はほとんどいりません。悪影響を及ぼします。状況と目的に適した施肥を心掛けてください。
Q15. カナメモチの葉に赤い点々がつくのは何故ですか。
A. ごま色斑点病です。新葉に4月下旬ごろから、紅色の小斑点が多数生じ、やがて病斑の周りは鮮紅色に変わります。カナメモチのほかカリン、シャリンバイにも発生します。越中病葉が春の伝染源となり、病原菌を飛散させ、新葉に伝播します。新葉展開後、殺菌剤を7~10日おきに数回散布してください。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q16. マツの葉の色が緑から、色が抜けて白っぽくなり茶色になってしまいます。
A. 昨年(2019年)はマツのハダニが全国的に発生しました。殺ダニ剤を散布しましょう。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q17. アブラムシがしつこくて困っています。
A. 吸汁性害虫には、浸透移行性剤といって、根や葉から吸収された薬剤が、植物の樹体内を移行していきます。長期間効果が持続するため便利な薬剤です。食害性害虫と吸汁性害虫の両方に効果がありますので、家庭園芸向きの薬剤です。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。
Q18. 農薬は濃度が濃ければ良いのか?
A. 水に希釈して使用する乳剤や水和剤を決められた希釈倍数より濃くしたり、粒剤なども決められた量より多ければ、病虫害に対しては良く効くかもしれませんが、必要以上に濃くしたり、または量を多くすることは植物に対しては薬害を起こし、葉が変色したり枯れたりする原因になります。例えば、病院で1回に2錠飲む薬を出されて、病気を早く治したいからと言って、4錠とか6錠を一度に飲むでしょうか?植物の薬剤も同じことなのです。定められた希釈倍数や使用量で十分効果があるので、それらを守って正しくご使用ください。
Q19. いろいろな農薬を混ぜてよいのか?
A. 複数の薬剤を混ぜて使うことを【混用】と言います。例えば、殺虫剤と殺菌剤、持続性と速効性農薬を混用するなど、作用性や目的の異なる薬剤を用いて、多くの病害虫を一度に退治できれば、時間も手間も省け、薬剤の相乗効果も期待できます。ただし、薬剤の相性によっては混用できない組み合わせもあります。代表的な例として、石灰硫黄合剤や強アルカリ性の薬剤は混用には不向きです。説明書に記載がある場合はその説明に従い、記載のない薬剤については各メーカーにお問い合わせください。薬剤の使用については、ラベルの注意事項をよく確認し、正しく使用してください。